「タワーマンションで相続税節税」
相続税を10分の1に軽減!? タワーマンションへ買いかえる効果
相続税の節税に有効な対策として、最近注目されているのがタワーマンションです。「土地持ち分の違い」と「所在階数による実勢価格の格差」という2つの理由から、実勢価格よりも相続税評価額が大幅に低くなるケースが多いからです。
まず「土地持ち分の違い」とは何でしょうか。マンションの評価額は土地の持ち分(敷地面積を延べ床面積に対する専有面積割合で按分した面積)と住戸面積で決まります。
一般に「タワーマンションの多くは中高層や低層マンションよりも土地持ち分が少ないため、相続税の評価額が低くなる」という傾向があります。
ただし、これについては例外もあり、注意が必要ですので、後で解説します。
第2点が「所在階数による実勢価格の格差」です。マンションの評価額は、たとえ階数が変わっても、土地持ち分と住戸面積が同じならまったく変わりません。
1階でも中間階でも最上階でも同じです。一方、実勢価格は所在階数が上になるほど高くなるのが一般的です。特に階数の高いタワーマンションでは、その価格差が大きくなります。
つまり、タワーマンションの最上階や上層階の住戸を購入すると、より大きな評価額の圧縮効果が得られるのです。
たとえば、1階住戸の実勢価格が4,000万円、同じ広さの40階住戸が1億円、評価額はいずれも1,600万円としましょう。
実勢価格に対する評価額の割合は、1階住戸は40%、40階住戸では16%にもなります。現金で相続する場合に比べ、大きく節税できます。
現金を保有する人だけではなく、前述した自宅兼店舗ビルや広い土地付き一戸建てを売却し、タワーマンションへと買いかえるケースも増えています。
タワーマンションでも、相続税対策に効かないケースに注意!
以上のように、タワーマンションは相続税の節税対策に非常に有効です。しかし、「タワーマンションなら何でも相続税が低くなる」と誤解して、失敗するケースも出ています。
次のような例外があることに注意してください。
●総戸数が数百戸以上で超高層のタワーマンションでも、節税対策に向いているとは限りません。まれに1戸当たりの土地の持ち分が大きいケースがあります。同じ棟内で、評価額が実勢価格を下回る住戸と上回る住戸が混在していることもあります。
●土地の持ち分が小さいタワーマンションでも、容積率の高い商業地に建てられている場合は、評価額の単価が非常に高いため、大きな節税効果を期待できないケースがあります。
●タワーマンション最上階のペントハウスなどのプレミアム住戸は、実勢価格よりも評価額を低くできる"圧縮効果"の高いケースが多いのは確かです。ただし、100m2を超える広い住戸は賃貸の借り手を見つけにくい傾向があります。売却する場合も、高額になるため購入者が限られます。将来的に値下がりするおそれがないかどうか、物件の良し悪しを個別に見極める必要もあるでしょう。
節税効果が高いのは、住宅地エリアでもともとの容積率が低いものの、総合設計制度などに認定されて容積率の緩和を受けたところにできたタワーマンションです。
土地持ち分も小さく、商業系エリアより評価額の単価も低いからです。賃貸にする場合も、住宅エリアのほうが、住環境が良いので高く貸せる可能性があります。
相続税対策は、資産の状況や家族構成、組み替える物件の条件などによって、効果が大きく変わってきます。支払う税金の多寡などの税務上の効果だけでなく、スムーズに遺産を分割して、確実に財産を引き継いでいくには、個別性が高くて複雑な不動産の特性を理解している専門家のアドバイスが欠かせません。具体的な事例に即したシミュレーションをもとに、どのような物件を買うのが相続税対策に効果的かを十分に把握した不動産会社に協力してもらうことが賢明です。
もちろん、タワーマンションの本来の長所は、眺望や住み心地といえるでしょう。だからこそ人気も高く、資産価値の高い物件が少なくありません。
相続対策としてだけではなく、購入目的に応じて検討してください。
タワーマンション購入前に一度、プレミアム不動産へご相談くださいませ。