非居住者の(海外オーナー)の部屋を借りる場合
2020年東京オリンピック開催の決定以降、外国人による日本の不動産購入が増加しています。
特に近年、海外のお客様による投資目的での日本の物件購入、非居住者(海外オーナー)が不動産を賃貸に出すケースが増えております。
非居住者所有の不動産賃料にかかる源泉徴収税
非居住者や外国法人(海外オーナー)から、日本国内にある不動産を賃借して、日本国内で賃借料を支払う者は、非居住者の申告漏れを防ぐ為、 非居住者等に対して賃借料を支払う際に、20.42%の税率で、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。
つまり、賃借人が源泉徴収義務者ということになります。
※非居住者とは・・・原則として日本国内に住所がなく、かつ現在まで引き続いて1年以上日本国内に居所がない人のことを言います。
外国人や外国法人、海外に1年以上の長期転勤中の日本人がこれにあてはまります。
なお、個人の方が自己又はその親族の居住の用に供するために、非居住者等から不動産を借り受けている場合には、 その個人の方は、賃借料支払の際源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
また、我が国が締結している多くの租税条約では、土地等の不動産の賃借料については、不動産の所在する国においても課税できるとする規定を置いています。
したがって、非居住者等に対して日本国内にある不動産の賃借料を支払った場合には、租税条約においても、その非居住者等が受領した賃貸料について、 我が国で課税できることになっていますので、国内法どおりの課税をすることになります。
■法人が非居住者の賃貸物件を借りるとき
具体的には、賃借人である法人は、賃料の79.58%相当額を非居住者の賃貸人に支払い、その翌月の10日までに残りの賃料20.42%相当額を源泉徴収税として税務署に納税します。
納付先: 納税義務者である法人の所轄の税務署に納付
納付方法: 税務署の指定の納付書 (非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書)により、所轄の税務署または銀行等の金融機関において納付することができます。
納付書: 国税庁ホームページより 非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書の様式
※源泉税の納付義務は借主側にあるため、納付を怠ったり遅れたりした場合は、借主側に延滞税や不納付加算税がかかってきますので注意が必要です。
非居住者等に不動産の賃料を支払ったとき(国税庁ホームページはこちら)
■非居住者が不動産を法人に貸す場合
日本において非居住者である外国人や外国法人が、所有する日本の不動産を賃貸して賃料所得(国内源泉所得)があった場合、賃借人が法人の場合は、 賃借人の法人が源泉徴収税(所得税及び復興特別所得税)の20.42%を納付後、残りの79.58%が毎月の賃料として賃貸人に支払われることになります。
下記の場合は源泉徴収の免除又は軽減を受けることができます。
<非居住者又は外国法人が源泉徴収免除証明書の交付を受けている場合>
非居住者又は外国法人が、日本国内に恒久的施設を有し、事業を行っている場合には、言わば、居住者又は内国法人と同様の状況にあります。
このため、その非居住者又はその外国法人が一定の要件を満たす場合には、申請により税務署長から源泉徴収の免除証明書の交付を受け、それを国内源泉所得の支払者(賃借人)に提出すればその証明書が効力を有している間に支払いを受ける国内源泉所得(賃料所得)について、源泉徴収の免除が受けられます。
<非居住者が源泉徴収免除証明書を受けるための主な一定の要件>
① 開業等の届出書を提出していること。
② 納税地に現住しない非居住者については、納税管理人の届出をしていること。
③ その年の前年分の所得税に係る確定申告書を提出していること。
(注)納税管理人とは:非居住者に代わって、日本の税務署からの通知を行ったり、確定申告書の提出や税金の納付などを行う者を言います。(納税管理人は法人でも個人でも構いません。)
<外国法人が源泉徴収免除証明書を受けるための主な一定の要件>
① 外国普通法人となった旨の届出書を提出していること。
② 会社法又は民法の規定による登記をすべき外国法人にあっては、その登記をしていること。
<日本と非居住者の居住国の間で、租税条約が結ばれている場合>
その租税条約の定めるところにより、源泉徴収が免除または軽減されることがあります。
この場合、所定の届出書や還付請求書を、国内源泉所得の支払者(賃借人)を経由して、その支払者の所轄税務署長に提出する必要があります。
非居住者の賃貸人は、翌年の2月16日から3月15日までの1か月間の間に、確定申告をすることにより、源泉徴収された金額の精算をすることができます。